第36話 もう一度東京へ戻るんだ

先生をすることに不満はなかった。
しかし、どうしても気になることがあったのだ。

塾の先生という仕事柄
勤務時間が普通ではないのだ。
昼過ぎスタート。
そして深夜まで。
しかも日曜も仕事で
ウイークデーが休みだった。

こうなると
自分の世界が狭くなってしまうのだ。
友人と会おうにも
会う時間がない。
せめて日曜があればと希望をだすが
それも駄目。

そして新しく
小学二年生のクラスを担当せざるをえなくなった。
これがまず僕の背中を押した。

僕はちいさな子供が大の苦手で
小学生の担当はしないと
入社段階で断っていたのだ。

ちょうどこの頃、
田舎に嫌気もさしていた。

例えば今日はデート!
といっても行く所がないのだ。
行き着けの場所になってしまう。
それが僕には許せなかった。
そしてついに思いは爆発した。

「もう一度東京へ戻るんだ!」

東京の友人に就職情報紙を送ってもらい
職探しが始まる。

この頃はバブルがはじけて2,3年。
そうそう就職はないといわれたが
諦める筈もなかった。

そして某マーケティング会社に就職
再び東京に戻ることになる。

この時彼女は田舎にいたが
反対はしなかった。
いや、
しないでいてくれた。

「やりたいことやんなきゃね。
 また、会えなくなるね」と。

それだけだった・・・。

僕はホントに勝手な男だと思う。

だが自分の思いを殺すことはタブーだと
これまでに学んでいた。

自分が一番可愛いという事か。。。

こうして田舎に戻って約一年後
再び上京。
二度目の遠距離という道を選ぶ。


僕は愛車を駆って出発した。
朝、君を会社に送り
遠ざかる姿をバックミラーで覗きながら
その景色は滲んでいたんだよ。

自分で決めた事なのに
勝手だよね。。。

Form Martin


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