第35話 大人の女との出会い

友人はみんな社会人をしている中
僕はバイト人生を送っていた。

次第に取り残されているような気持ちになり
就職したい!
と強く思うようになる。

相変わらず即行動に移るマーチン!
これまで先生を目指していたこともあり
地元では有名な塾へ採用試験を受けに行った。

僕は文系出身。
しかし、ずっと理科が得意で
中学、高校1年までは学校でTOPをとるほどだった。
先生は「理系に進め」と言った。
だが、この頃の僕は「努力」の二文字が大嫌いだった。
わざわざ難しい方に行くことはないと
文系に逃げたのだ。

これが僕の人生最大の過ちだった。。。
と今でも思っている。
と、同時に社会人になってからの
原動力にもなっている。
いわゆるバネにした。

人生相談室の由来はここからだ。
後悔しても始まらない。
今から出来ることをするしかない、と。

採用試験の際
理系で採用してもらえるかと聞いてみた。
「理系の採用試験に受かればよい」
これが返答だった。
それから理数の勉強をして
理系の講師として採用された。

文字通り
「マーチン先生」が誕生した瞬間だった。

受け持ちは中学3年がメイン。
高校受験生を受け持った。
持ち前の元気をウリに教壇を跳ね回って
一応、人気授業をしていた。

そんな中、ある先生に出会う。

K先生は幼児教育部門の先生。
早い話が幼稚園の先生みたいなものだ。

彼女は園児を相手にしている為か
ずけずけストレートにものを言う。
正直可愛げはなかった。
しかし、それが気になる。
そんな女性だった。

ある日、先生同士の飲み会があった。
その時、初めてまともに話をした。

「一体いくつなの?」
「あんたより上よ」
出た、「あんた」。
可愛くねー。
僕も慣れれば「お前」って言うけどさ。

「うぅえぇぇえー?」
見えない。。。

「ひとつ上の女は探してでも嫁にしろ」
あれ?違ったかな?
そんな諺があるんだけど。
男心の良き理解者。
動きのいいパートナー。
そんな感じでお勧めらしい。

「あ〜、マーチン先生は
 すぐ若い先生と話して〜。」

酔っ払った先生が絡んできた。

「んなこと、ないですよ〜」

邪魔を交わして
一緒に食事に行く約束をする。

仕事場所は地元ではなかった為
あまり詳しくない。
案内して貰ってお勧めカレー屋さんに行った。
ここのカレーは激辛じゃなかったので
ちゃんと食べられた。

「うちにくるかい?」
「ん、別にいいよ〜」
相変わらず可愛くないなぁ・・・。

お酒とお菓子を買って
僕の部屋で飲みだした。
もうすっかり寒い時期だったので
コタツに入って飲んでいた。

なんと!そこで聞いた話。
彼女は付き合っている男・・・
ハッキリとは付き合っていないらしいが
そんな男が先生の中にいたのだ!

「え〜っ!マジでぇ!」
「うーん。。。手を出してくるのよねぇ〜」
「じゃ、俺も手ェだすよぉ!?」
「やってみればぁ?」

出た、必殺のサイン!
これは女が男を試す時に出す
一撃必殺のサインなのだ!!

ここで引き下がるわけには行かない!

「がおー!」
「・・・するの?」

するの?と来たかっ!!
もちろん!するでしょ?
ここで止まれないでしょ?
と頭で問答していると・・・

「そうね、、、ここで止めちゃ
 可愛そうだもんね」

一言一句が珍しい反応だ。
強がってるように見える。

しかし、強がっている女性は
中がボロボロに弱い事が多いものだ・・・。

この後、
時々一緒に食事をしたり
Hをしたりするようになる。
しかし「僕達の関係」は謎のままだった。

普通こういうことになると
女の子が聞いてくるものだ。
「私達の関係はなんなの?」
「私って何?」と。
しかし彼女は聞いてこなかった。

この不思議な関係が
心地良かったのだ。
悪く言えば「都合のいい相手」
良く言えば「オアシス」だった。

彼女は男の心を上手に掴む。
上手にけなして上手に誉める。
初めて出会った『大人の女』だった。

僕にとって大事な人になっていた。

それから約半年間
彼女の心地良さに甘えていた。

ある日、、、
彼女は僕に助けを求めてきた。
彼女の中はボロボロだった。
僕はそれに気が付かず
いや、気付いて
気付かぬ振りをしていたのかもしれない。
いつものように振舞って
いつものように別れた。
何か変だなと思いながら。。。

この朝が僕達の最後になった。

僕は最後まで君に甘えていた。
強がらずに
もう少し自分を出してくれていれば
違った結果になったかもしれない。

でもね、君に出会えたから
大切な人の心の糸を見つけた時は
引き出してあげようって
思うようになったんだよ。

Form Martin


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