第25話 4年間のすれ違い

お見合いパブ時代と少し前後するが。
バイトの原因となったスキー。
この年はバレンタインデーに
同棲していた彼女とスキー旅行に行く。
長野県エコーバレースキー場で
落ち合うことになった。

2、3週間ぶりにあう彼女。
勿論彼女の事は好きなので
楽しみにしていた。

ペンションで落ち合い
コース料理のディナーと
温泉で疲れを癒す。

部屋に戻って
話をしながらお酒を飲んで
幸せな時間が過ぎる。
そうしているうちに
いい雰囲気になった。

「。。。嫌、やめて」
「。。。え?」
「だってHしに来たんじゃない。
 スキーしに来たんだもん」
「何言ってんの?
 僕は君に会いに来たんだよ!
 スキーは二の次じゃないか!」
「。。。」

遠距離恋愛していて
数週間ぶりに会うカップル。
求め合わないなんて
絶っっ対変だ!

「。。。
 何かあるなら話してよ。。。」
「。。。
 H嫌いなの」

え?なんだそれ??
彼女は類稀なる「早イキ」の女なんだ。
30秒から1分でイッてしまう。
それでHが嫌いだって?

「。。。どういう事?」
「私、今までイッたことないの。。。」
「?。。。」
「。。。」
「え?じゃ、今までのは演技。。。!?」
「。。。うん」

マジで?
信じられない。。。
そういうの聞いた事はあるが
絶対分かると思っていた。
4年間もずっと、、、
う・・そ。。。だったのか?

屋根の上に積もった雪が
ドサッッと
下に落ちたようだった。

そういえば。。。
今迄ちらちらと疑問に思っていた事が
一気に繋がっていった。
何故、あんなに早くイクのか?
その後異常に嫌がるのは何故か?
考えれば分かりそうな事だった。

そして、これには思い当たる理由があった。

彼女は高校時代、知り合いの男性に
無理やりされた事があるのだ。
いわゆるレイプだ。

不思議な体験だった。

初めて彼女と結ばれた日
彼女はバージンだった。
でも、何か変だった。
その夜、夢を見た。

夢には僕の兄がでてきた。
兄は僕にこう言った。
「彼女は男に乱暴された事があるんだ」

驚いて目を覚ました。
あまりにリアルだった。
思い切ってそれを彼女に伝えた。
「そんな訳ないじゃん!」
と言われ
そうだよなーと勝手に納得していた。

それから約半年後のある日。
彼女が震えながら泣きながら告白した。
「あの日どうしても言えなかった。。。」と。
ぶるぶる震えながら泣いていた。

この時初めて
「身を切られるよりも辛い想い」
を体験した。

映画などで家族や恋人を人質に取られて
悔しがる主人公がいる。
あれだ。
自分ではどうにも出来ない
やるせない想いなんだ。

この事件後
彼女は処女膜再生手術を受けて
僕と出会った。
しかし、この事件のせいで
いわゆる不感症になってしまっていたのだ。

悪く言えば
4年間騙されていた。
でも、僕は怒るより何より
気づいてあげられなかった自分が悔しかった。
気づいてあげられれば
何か手の打ちようもあったろうに。。。

隠し事をされるのは辛い。
しかし、隠す方がもっと辛い事もある。
心の中にジョーカーを、
「ババ」を隠し持っていなくてはならないからだ。

別れる間際に
「実は私、浮気をしていたの」と言うヤツは許せない。
これがまさしくババ抜きの「ババ」を
「ほいっ」と渡して去ってしまうヤツなんだ。
言う事で本人は楽になれる。
ババがなくなったからだ。
しかし、ババを渡された人は
ずーんと辛い想いをしなくてはならない。
告白する事で楽になれるのは
この為なんだ。

この日まで4年間彼女は苦しんだ。
今までババを引いてあげられなかった
僕が青かった。

何時の間にか僕は泣いていた。
そのまま彼女を抱きしめた。
別れる覚悟で彼女は告白したと。
でも、この告白で
この後、半年間
今迄より分かり合った付き合いが出来るようになる。

君と僕が最後に体験した試練だった。

Form Martin


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