第23話 超恋愛 〜後編〜

翌日、
どちらを誘おうかと
独り電話の前で考える。
基本的に僕は安全策をとるタイプ。
が!!
「好きな方に行くでしょ!」
と勇気を出してNさんに決定!

「ルルルル・・・ルルルル」
早い、すぐ行動!

「はい、Nです」
うげっ、お母さんだ!
「わ、わ、わたくしマーチンと申しますが
 Nさんいらっしゃいますでしょうか?」
「マーチンさん?変な名前ですねぇ。←これはウソ
 少々お待ち下さい」

実はNさんって5人兄弟で
しかも全員Nさん!(当たり前かぁ!)
目的のNさんを告げるのに苦労した。。。

「あ、もしもしぃ?」
「もしもし、マーチンです」
「あっあぁ、昨日はどうも。
 ちゃんと帰れましたぁ?」
「なんとかね。初日から貫徹になるとは
 思わなかったけど」
「あはははは」
「ところでさ、週末って空いてないかな?
 ドライブしようよ」
「あーごめん、予定入ってるんだ〜」

げげ!弱ェ〜。
しかし、諦めない!

「じゃ、週明けは?」
「んっとぉー、月曜はバイトだから
 火曜ならいいよ」
「ホント?じゃ、火曜にしようよ。
 昨日のダンキンドーナッツに迎えに行くから」
「はーい」
「じゃね、火曜日に」
「ばいばーい」

ふはははは、任せなさい。
学生に週末も火曜も関係なーい。
ほら、だから好みの方にして良かったろ?
うん、そうね。
頑張らなきゃな。
おう。
と、頭の中で独り芝居。
そう、これは僕の癖なんだ。
そしてまずい事に、この時口が動いているらしい。

ある彼女に指摘されたんだ。
「すっごーい変な奴ぅ〜!
 また口がパクパクしてるー」って
死ぬほど笑われた。
うっせい!
早く火曜日よ来い!

さて、やって来ました火曜日。
新宿のダンキンに向かいながら
プッラァーンを考える。
プランね。
僕は神奈川県川崎市に住んでいた為
ドライブといえば殆ど横浜方面。
三浦半島、伊豆までかなり詳しかった。

14:00新宿。
15:30横浜ベイブリ。
17:00湘南。
18:00飯。
19:30酒。←おい、車だろ!
22:00湘南平。(湘南地区では超有名な夜景スポット)
23:00ホテル。

ふふふ、完璧だ。
おっと、また口が動いているぜ。
やっぱ、目標は高く持たないとね。

「お待たせ!」
おお、気合入ってるな!
およそ二十歳には見えない女ぶり。
彼女も期待しているのが伝わって嬉しい。

「綺麗だね!凄くいい感じ」
「ホント!?」
嬉しそうだ。
こういう一言って、ポイント高いんだよね。
この時はまだ気づいていなかったけど。

「じゃ、行こっか」
「うん」

プラン通りにデートは進む。
そして、夕食。
湘南海岸通りには洒落たお店が多い。
看板代わりに炎が燃えているお店が一つある。
名前は覚えていない。そこへ行った。
ちなみに今はマネをして
燃えている店が何軒かある。

ここはレストランとバーが内部で別れていて
かなり雰囲気のいいお店で味もいい。
ついでに値段もいい。
が。。。!
勿論金に糸目はつけない。

「着いたよ」
「きゃぁ〜、いい感じぃ〜!」
「でしょ?」
「よく来るのー?」
「たまにね」
ウソつけ!二回目だろぉーーーが!!

ロブスターをメインに食事をした。
ウッド作り、海沿いにあるこの店は
男の僕でもいい雰囲気だと感心する。

「君はフランス料理を食べに行きました」
「なになに?」
「いいからさ、答えてよ」
「うん」
「さて、料理を注文しますが
 君はいくつ注文しましたか?」
「えっーと、えーと、、、
 4品」
「あっははははは」
「なによぉ!」
「いいのいいの」
「でね。。。」
。。。
「最後にカクテルが出てきました。
 それは何色ですか?」
「う〜ん、赤」
「わははははは!」
「だから、なんなのよぉ!」
「最初に注文した数が
 一晩にしたいHの回数。
 。。。
 でね、カクテルの色がHする時に付けていると
 燃える下着の色だってさ」
「私、赤って持ってなぁーい」
「じゃ、一緒に買いに行こうか!」
「あははははは」
この心理テストは面白いから好きなんだ。
途中省いちゃったけどね。

「ねぇ、向こうはなんだろ?」
「あぁ、あっちはバーになってるんだよ。
 行ってみるかい?」
「いく!いく!!」

民族大移動。

「わぁー。。。」
ずらり並んだリキュールやらブランデーの瓶が
綺麗なカーテンのようだ。
さすがにお見合いパブでは歯が立たない。

しばしの夢心地を過ごた二人。
そろそろ行きますかと
夜景を見に行く事になった。

「ごちそうさまぁ〜」
「うん、表で待ってて」
「はぁーい」
「いくらですか?」
「23500円です」
「☆◎×♂!!」
くぁー。。。
だろーなぁー。
一気に夢から覚めたぜ。。。

「オ、オ マタ セ」
「どうしたの、なんか変」
「ソ、ソウカイ?」
「うん、変よ」
「イ ヤ、だいじょうぶ」
「本当?」
「ほん当」
お、だいぶ復活した。

「さて行くカ」
「うん!」
おおお、凄い元気だ。
これでこそ奢った甲斐があると言うもんだ。

いざ、湘南平へ。
ここは小高い山頂の広場でTV塔がある。
そこから湘南海岸の夜景が
ぶわぁーーーーーーっと見えるんだ。

アーンド、ここにはちょっとした伝説がある。

TV塔は人が落ちないように柵で覆われている。
be covered with 柵。
中学で覚えさせられたねー。
「〜で覆われている」って意味。
そしたら必ず誰かが言うんだ。
be covered with スキン。
ぶわぁかだよな〜

話がそれました。

で、その柵に錠前を付けるんだ。
「二人の心が離れませんように」って。
するとその二人は幸せになれるって言う伝説。
ホントかよ。。。

二人でTV塔に登る。
「ねぇねぇ、この鍵なんなの?」
柵にびっしり錠前が付けられてるんだ。
知らない人が見たら誰でもビビる。

「かくかくしかじか」
「へぇ〜、そうなんだぁ。
 なんかいいね〜」
「。。。」
「鍵持って来れば良かったなぁ。。。」
。。。
「はい、一緒に付けよう」
「えっ!持って来てくれたの?」
「もちろんっ」
相変わらず演出家。
さすが元演劇部。

二人で鍵をつけて
そのまま抱きしめて
。。。

ちゅー

成功!
任せなさい。

周りもカップルだらけだが
全員ちゅータイム。
ちゅーしながら薄目開けると
向こうでもちゅー。
こっちでもちゅー。

be covered with ちゅー。

暫しのラブラブタイムを経て
車に戻った。
エンジンをかけると
正面のデジタルクロックが光る。
もうすぐシンデレラが帰る時間だ。
彼女の手を握り
「俺って強引だからね」
「えっ。。。?」

左手で彼女の手を握ったまま車を出す。
僕の車はマニュアルなんだけど
この時ずっと僕は手を握っていた。
右手一本で運転してギアを変えていたんだ!
すっげー!後にも先にもこの時だけだね。
よく「マニュアルは手が繋げない」と言うが
そんな事はないのだ!

出来たばかりの綺麗なホテルへGO。
「え〜、ホントにぃ〜!?」
「うん」
「こんなの、話には聞いてたけど初めてぇ〜」
そういえば、僕も初めてだ。
「行くよ」
車を降りた。
暫く待つと彼女も降りてきた。

いい子だ。

うおぉー、すっごい広い部屋!
「広いねぇ〜」
「きれぇ〜い」

なんか広すぎて間が持たないなぁ。
抱きしめたら
「待って。
 シャワー浴びよ」
おっと、聞いた事があるセリフだ。

「お待たせー」
「じゃ、俺も行ってくる」
「うん」

出てきたら彼女はベットの中。
うう〜ん、なんか似ているぞ、あの時と。
。。。
かんけーねーや。

ベットに入ると彼女が言った。
「シャワー浴びた後って
 どのぐらい服着たらいいか悩んじゃった。
 こんな感じでいいの?」
バスローブの中はブラとパンティー。
聞いてくるなんて可愛いとこあるじゃん!
「うん、上出来」
「良かった。ブラどうしようか悩んだんだー」
「どっちでも良かったけど
 男は脱がすのが好きだからね」
「えー、そうなんだー。えっちぃ!」
「あはははは」

ピロートークって
普通エッチが終わった後なんだけど
それが前にもあるってのはいい事なんだろうね。

この日、元気な僕は頑張って
夜3、朝1で注文された回数をこなした。
「心理テスト当たったねー」
「もう、えっちぃ」
「でももう駄目。。。」
「軟弱者ぉ〜」
「うそぉ〜〜」
「はははははは」

朝ご飯を食べて新宿に送った。
「週末にまた逢えるかな?」
「うん!いいよ」
「じゃ、またTELするね」
「はーい」

おおよそ100点
完璧なデートだった。

そして金曜日の夜、電話がなった。
「はい?」
「あ、Nですけどー」
「ああ、こんばんは!」
「こんばんはー。
 日曜日ってまたダンキンでいいの?」
「うん、いいよ。13時ね」
「はーい。じゃ、明後日ね」
「うん、バイバイ」

人生ばら色♪

そして日曜13時のダンキン。
今日は僕の方が早いみたい。
13:15遅いなー。
13:35電話してみよっと。
     誰もでないや。
14:00???
14:30もう一回電話。
     「娘は外出しています」とお母さん。
     怪しい。。。
15:00えー、でもドタキャンするなら
     わざわざ金曜にTELしてくるかぁ〜!?
16:00最後にもう一回電話。
     「娘はおりません」怖い声でお母さん。
     こりゃグルだよ、やられたなー。
17:00いい加減帰ろう。。。

天国から地獄へ、どぼぉーん!

なんなんだ?
まさか日にちを間違えたとか?
翌日も13時に行くが
勿論いない。

未だに不可解な君の行動。
何がしたかったの???
しかもこの話はここで終わらない!
エピローグは忘れた頃にやってくるのだ。

あ"ーそういえば!!
やっぱりあの日と同じになったじゃないかぁー。
「最初で最後だからね」
あぁ〜あ、もったいなぁーい。

Form Martin


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