第18話 気になるあの子のアプローチ 〜前編〜

「マーチン、お前どの子がいい?」
「あの子だね」
即答した。
”あの子”は目がぱっちりしてとてもグラマー。
う〜ん、いい女だ。

大学4年、秋。
当時仲良くなったK君は
大学1年からパブでアルバイトをしていた。
マスターに気に入られ
この時には店長代理をしていた。

リニューアルオープンするから来いと誘われ
飲みに行った。
そしたら店の女の子も全員リニューアルされていたのだ。
全員フィリピンの子に。

この日迄、僕は誤解をしていた。
恐らく大抵の日本人はそうだと思うが
「飲み屋で働く外国人女性」に良い印象を持っていない。
しかし彼女らはエリートなのだ。

日本という国はあまりに裕福過ぎる。
それを日本人は理解していない。
フィリピンと日本の稼ぎを比べると
当時の国民一人当たりのGNPは
フィリピン約800ドル。
日本約20000ドル。
実に25倍稼げる国なのだ。

当然出稼ぎを希望する人は殺到する。
その難関を潜(くぐ)り抜けたのが彼女らだ。
例えば、達者な日本語を話す。
どれぐらい勉強したのか尋ねると
僅かに半年。
アンビリーバブル!
それで外国語が習得出来るものなのか?
毎日毎日”泳げ!たいやき君”の如く
Go to Japan!と念じていたに違いない。
プラス思考のなせる技だ。

さて、学生という身分柄
女の子付きの店で飲む機会は少ない。
やはり持つべきものは友人だ。
VIP扱いの上、閉店まで居座って
二、三千円だった。

こざっぱりした店内は
カウンターとBOX席が3、4つ。
歌える小さなステージがあった。

僕はカラオケが大好きで
パフォーマンス付きで歌いまくる。
みんなが乗って盛り上がったら
シンミリとバラードに切り替える嫌な奴だ。

カラオケってある意味
オナニーと同じだと思う。
好きな曲を好きなように歌うから。
「おっさん、全然音あってねーよ」って
そんな奴がすごく多い。
でも本人はお構いなしだから不思議だ。
恥ずかしくないのかよ?
すごく気持ち良さそう。
やっぱりオナニーじゃん。。。

僕も十八番のB’z「ALONE」を歌って
快感に浸っていた。
その時リクエストされた。
”あの子”から。
サザンオールスターズ「涙のキッス」。

専用練習場で30回は歌っていたので
自信たっぷり。
僕の練習場は車の中なんだ。
ハンドルが振動するくらいガンガン鳴らし
発狂したごとく歌いまくる。
誰の迷惑にもならないから便利だ。

ステージから彼女に視線を送る。
ぱっちりした彼女の目は
感度のいいレーダーになり
僕のアイビームをキャッチしてウインクを返してくれた。
いい感じだ。
しかし、彼女にはエロオヤジがくっつき
一緒に話すことはなかった。

閉店15分前、照明が落とされた。
怪しい雰囲気だ。

「チーク?」
「そう」
「今までこんなのあったか?」
「リニューアルだからな」
なるほど。

と思った時、手を差しのべられた。
彼女だ!

待てよ。。。
これは出来すぎている。
さては、Kが気を利かせて仕組んだな!?
まぁ、いいか。せっかくの好意だ。

手を取って立ち上がる。
実はチークの経験なんてない。
やるしかないのが男の辛い所だ。
映画のシーンを思い出して
彼女のリードに合わせる。
体温を感じるほど密着する。
ざまぁ見ろ、エロオヤジ。

やってみれば出来るものだ。

最後に少し強く抱きしめられた。
女性は男性の肩というか背中に手をかけている。
その手をぐっと引き寄せられた。
手から言葉にならない声が聞こえた気がした。
え?この感覚は。。。

翌日、学食でお気に入りメニュー
”ポークジンジャー”を食べていたらKが来た。
「よっ。昨日はサンキュ」
「おう、いいって。
 そういえば、Bさんと上手くやってたな?」
「はぁ?
 あぁ!彼女Bさんっていうんだ」
「。。。
 名前ぐらい聞いとけよ」

そういえば聞いていなかった。
チークを踊るのに神経が集中していたのだ。
彼女から感じた体温にも。

「でもさ、あれってお前が頼んだんだろ?」
「ほへっ?」
「だからお前が気を利かせたのかと。。。」
「ンな事してねーよ。 ホントに気に入ってたみたいだぜ」

えぇ!?
やっぱりそうか!
あの感覚はそうだったんだ。
自分の感覚は信じなきゃいけないんだ!

「今日彼女くる?」
「みんな毎日くるよ」
「決まりだな。
 キメていくから授業サボりね。
 代返よろしく」

”ポークジンジャー”の残りを5秒で食べて
食器を戻す。
思ったら即行動だ。

「おい、マジかよ。
 連チャンなんで今日は少し高いぞ〜」

なんだって?
貧乏学生から金をとるな!
エロオヤジから取りなさい。

こうして再び、いざ決戦へ!?
To Be Continued...

Form Martin


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