第17話 私、いま生理中なの

大学4年、春。
仲良しメンツが一人増えた。
Mさん。
何気に僕のお気に入り。
活発的な子だったので
もともと交流はあった。

彼女が彼の事で相談があると
僕に持ちかけてきた。
話を聞いてあげ
僕の辛口論を繰り広げる。
ずばずば言うが当たっていることが多く
その後も相談は続く。

ある日
仲良しメンツで飲んだ帰り。
「二人で話したいな」
「う〜ん、みんなを撒けるか?」
「大丈夫よ」
え?
「今日、私達A計画の話をするから。
 じゃね!」
「なんじゃ、そりゃ?」みんな。
「行こ。マーチン」
「あ、わりぃ。またな」

この日から
僕達が異様に仲良しなのはバレたのだが
それをどうこう言う友達はいなかった。
これは友達に感謝だ。

休日に二人で出かけて
話をすることが多くなった。
相談しているうちに
お互いの気持ちが近寄っていった。
よくあるパターンと言うが
やっぱりよくあるのだ。

そんなこんなで
ドライブに行きたいねと
伊豆・箱根へ行くことになった。
日帰りなんだけど。
芦ノ湖を望むスカイラインに車を止めて
話をする。
ちょうど夕方で夕日が眩しい。

「綺麗だね。。。」
「うん」
唇を重ねる。
この時、キス以上の関係は既にあった。
二人の時が止まる。

再び時が動き始めた時には
夕日が殆ど見えなくなっていた。
「ねぇ。。。」
「なぁに。。。?」
「君が欲しいよ。。。」
「。。。
 どうしよっかな。。。
 いま、生理中だし。。。」

え!?なんてバッドタイミングなんだ!
だから恋愛はタイミングが・・・
「いいよ」
「え!?」
「うん、いいよ。。。」

ホントに!?
そっか、始まったばかりとか
終わる寸前とかそういうことか。
真剣に考える僕。
この間0.5秒。
なんでもいい、OKなんだ!

変に緊張して車を走らせる。
東名高速横浜インターへ。
ここは超ホテル街。
お城のようなホテルに行きたかったが
道が分からない。
さくっと選んで入る。

「5分程度お待ちください」
なんじゃ、そりゃ!
げげ、ラブホテルに待合室があるの?
田舎のラブホテルにはそんなものは無い。
カルチャーショックだ。。。
いかん!
そんなものにショック受けてる場合じゃない!

「5分待ちだってー。やだねー」
「うん。。。」
なんて白々しい会話なんだ。

「お待ちのお客様どうぞ」

バタン
。。。
「シャワー浴びてくるね。。。」
「うん。。。」
落ち着かない。

カチャッ
「。。。」
「あ、僕も浴びてくる」
「うん。。。」

あれっ?
お髭さんが伸びているなぁ。
うむむ、安物髭剃りは嫌いなのだが
今日は仕方ない。
そりそり・・・
やっぱりマメな僕。

カチャッ

彼女はベッドに寝転んでいた。
隣に入る。
長いキスが始まる。
前戯の最中にふと気づく。
あれっ?全然生理って感じじゃないぞ。
でもそう言ってたって事は
今日は安全日なんだよな。。。

僕はスキンが嫌いだ。
スキンを付けてのHって
ガラス越しのキスと同じだ。
勿論必要な時は付けるけど。
今日はいいよね?

結ばれる直前、彼女が言った。
「最初で最後だからね。。。」
。。。


余韻に浸る腕枕の中で
彼女が口を開く。
「ねぇ。。。あれ付けなかったでしょ?」
「うん」
「。。。どうして?」
「だって生理中って言ったじゃない」
「え!?」
「だから生理中って。。。」
「えー?
 違うわよー!
 私はセール中って言ったの」

へ!?

「彼と別れるつもりだから
 私、いまセール中だって
 誰か抱いてって」

なあぁぁんじゃぁぁそりゃぁぁぁ!!
Ah!スーパー勘違い。
ちょっと待てよ、と言うことは。。。

「ごめん、次の予定日は?」
青い!顔が青くなっていく!
「えっと。。。再来週の火曜日」
今日は金曜日。
うわー、ぎりぎりセーフ。

「ちゃんと予定通りくるタイプ?」
「うん、大体ね」
「そっか、一応大丈夫だ。。。」
「ホントにぃ!?
 もう、こんなの初めて!」
「えー、初めてって?」
「中でイっちゃったのなんて初めて!」
「じゃあ、僕が初めて中でイった男じゃん。
 なんか嬉しいな」
「。。。バカ」

ちょっぴり幸せな勘違い。
でも君が言った通り
この日が最初で最後でしたね。

P.S.予定通り、お客さんはいらっしゃいました。

Form Martin


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