驚いた。
20年前よりさ・・・ずっとキレイになってるんだから。
お正月にね、田舎へ帰ったんだ。
そう、お家の神社を手伝いにね。
・・・今更言うなって?
ごめんごめん、出すのを忘れてたんだ。
久しぶりに会った、父さんと母さんは元気そうだった。
兄さんたちも元気そうだった。
ネコたちも・・・もっくん、ミーニャ、
・・・あれ?
シロがいない。
「父さん、シロは?」
・・・。
・・・そっか。
シロはね、僕が中学2年生のときに生まれたんだ。
子供だった僕は、よくシロをいじめていた。
だから、シロは僕の顔をみるといつも逃げていた。
大学生になって、1年に1、2回しか家に戻らなくなった。
でも、シロは僕のことを覚えていて、
僕の顔をみると「うにゃーん」っていってくれてた。
社会人になっても、シロは「うにゃーん」っていってくれた。
でも、シロの顔は・・・だんだん、おばあちゃんになっていった。
・・・。
・・・そっか。
シロ、死んじゃったんだ。
その夜ずっと眠れなくて・・・
明け方、海まで散歩してみた。
・・・。
えっ!?
驚いた。
20年前よりさ・・・ずっとキレイになってるんだから。
満潮なのに、海の底が見えて、
そこにイシダイがいたんだ。
イシダイって、エンゼルフィッシュみたいな形をした
シマシマ模様の魚なんだけどね。
すごいキレイな水の海じゃないといないんだよ。
・・・。
20年前。
まだ、シロは生まれていなかった。
そして、この海は・・・ヘドロの海だったんだ。
逝ってしまうものがいる。
生まれ変わるものもいる。
・・・ふくざつな気持ちだよね。
僕たちも・・・いずれ逝く。
だけど、それまでの間はね、
この海のように、毎日生まれ変わりながら・・・
生きていきたいって思ったんだ。
P.S.お父さん、お母さん。長生きしてくださいね。
From Martin