こっそり刻まれたメッセージ (2001年2月17日 第79号)

親愛なる君へ

ひょっこり出てくることがある。
引出しの奥に隠れていた・・・
ずっと昔の想いがね。

机を整理していたら出てきたんだ。
可愛い小さな紙袋。
指輪やアクセサリーが入るあれ。
中には硬いものがある。
・・・。

袋からは、ルーペが出てきた。

僕は驚かせるのが好きなんだ。

そう、ずっと昔・・・
指輪をプレゼントする時に
「何かいい案はない?」って
お店のお姉さんに聞いたんだ。

「リングにメッセージを入れるのはどうでしょう?」
すぐわかっちゃうからヤダな。
「じゃあ、石に入れてはどうでしょう?」
あ、それいいかも!

サンプルを見せてもらうけれど、わからない。
ルーペで覗いても見えないんだ。
じっっっ・・・っと覗いて
ゆっっっくり、リングを回す。

かなりの慣れが必要だって
お姉さんが言ってたよ。

明るいところへ出て、粘ること約20分。
ようやく見えた。

「指輪と一緒に渡したら喜びますよ〜」
とお姉さん。

バカな。
一緒に渡してどうするの。
そうだな・・・。
最低3年たった頃に渡そうと思う。

「3年ですか〜。
 ロマンチックですね〜」
あははは。
キザなことが大好きなんだよ。

そんなやりとりを想い出す。

そして・・・
今年のバレンタインデーが
その3年目でした。

人は色々な道を選ぶ。
それはわかっている。

しかしルーペを渡せなかったことが
あの日の想いを裏切ったようで
切なくて、
切なくて・・・ね。

ほら、君も彼に貰った指輪があるのなら
ルーペを買って覗いてみよう。

もしかしたら、
聞いていない約束が、
あの日の彼の心がね・・・
こっそり刻まれているかもしれないよ。

P.S.次にあげる指輪にも、同じものを彫っておきます。
    君には・・・見てもらえることを祈ってね。
                                From Martin


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