笑えない大人 (2000年5月31日 第8号)

親愛なる君へ

にや〜
「くっくっく・・・ひっひっひ」

何ニヤニヤしてるかって?
久々ツボにはまったんだよ。
気になる?
じゃ、話そうかな。

昨日中学時代からの友人に会ったんだ。
彼とはもう16年の付きあいになる。
長いもんだ。

その彼とさ、
大人になってからの付き合いで伝説が生まれたんだ。
その名も「レジェンド オブ モーホー」

「ホモの伝説」

<伝説その1>
5年前のある日。
彼が家に遊びに来ることになったのね。

で、晩飯を食べようとレストランに行ったんだ。
二人は大の甘党。
食後にパフェが欲しくなった。
でも、一人一つは多いので半分わけすることにしたんだ。

パフェが来た。
ほっとくと、どんどん食べられてしまうのは必至。
二人が両側からぱくぱく食べる。
もう少しでキスするぐらいまで大接近!
そこで僕が一言。

「この姿って、モーホーじゃない?」

時は金曜の夜。
身長175と180のスーツを纏った男が二人。
食後にキスしそうなほど接近して
テーブルの両側から一つのパフェを食べる。
周りの人はきっと・・・

「付き合い始めたモーホー」と思ったに違いない。

笑ったね。

<伝説その2>
彼はイケてる店に詳しいんだ。
ある日、新宿のバーを紹介してもらった。
「金魚」っていうんだけどね。

知ってる?
壁に水槽が埋めてあって
金魚が泳いでいるあの店だよ。

店内はかなり暗くカップル専用みたいな店。
そこに二人で行ったんだ。

席につくなり僕は泣き出した!
注文を取りに来たウェイターは唖然。
彼も「何だ!何なんだ!」

コンタクトレンズにゴミが入っただけなんだ。

すごく雰囲気のいいバーに入るスーツ男二人。
席につくなり泣き出す男。
取り乱すもう一人。
きっとウェイターは・・・
「モーホーの別れ話」と思ったに違いない。
この時も笑った。

<最期の伝説>
彼は来月からアメリカへ留学が決まった。
その前に語ろうと昨日会ったんだよ。

お好み焼きを食べた。
もちいりエビ玉。
おいしいんだよ。
モチ入りが僕は好きだね。

話に花を咲かせながら焼く。
結構大きかったんで二人でひっくり返す。
男同士でやるもんだから破いちゃった。
まあいいや、食べられればいいんだよ。

よし、できた!
そこで、彼がお好み焼きを二つに分けながら言ったんだ。

「信じられん・・・
 ハート型になってる・・・」

え?!

ほんと綺麗なハートなんだ!
横向きにもならず、真っ直ぐなハート。
それをブロークンハートになるように切ってたのね。
もうだめ。笑い死ぬ!

まずい、またニヤニヤしてきた!

これまでの人生、
お好み焼きなんて何百枚食べたか分からない。
何人の女の子と食べたか分からない。
でもハート型になったことはないよなぁ・・・。

大人になって心底笑う事が減ってしまった。
なぜだろう・・・。
笑う事は人間の特権なのに。
すごく寂しい。

彼は来月結婚式をあげて
そのままアメリカへ留学する。
2年間だ。

アメリカでの新しい伝説に期待しよう。
2年後に新たな伝説を聞かせてくれ。
そしてまた笑おうじゃないか!

P.S.毎日笑える大人になりたいですね。
                                From Martin


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