第9話 初体験はいつなんだ?

高校1年、バレンタイン。
・・・バレンタインは好きだが、あまり好きではなかった。

要するに、僕はチョコがあんまりもらえない人なのだ。

「モテるでしょ〜」と、昔からよく言われるが・・・
ハッキリ言って、3つ以上もらったことはなかった。

そんな2月14日。
演劇部の先輩Tさんが、僕にチョコを持ってきてくれた。

「お兄さん、お兄さん」

ちょっと知らんふり。

「おにーいさん!!」

「お?なに?」

「これ・・・」

「お、サンキュ〜」

授業の合間、休み時間だった。
こういうのは照れるのだが・・・やっぱり嬉しい。

彼女は、僕と同じ演劇部で、昨年の文化祭で舞台をした仲だ。
「童話裁判」というメルヘンチックなお話で・・・

僕が旦那さんで彼女が奥さん。
そう、劇の中では夫婦だったのだ。

部では、舞台カップルがそのままカップルになるのは珍しくない。
僕たちも類にもれず・・・若干、そういったサインは感じていた。

家に帰って、部屋でチョコを開ける。

・・・カードだ。

「お兄さんへ。
 Tより愛をこめて」

僕は、何故かお兄さんと呼ばれていた。
それはどうでもいいんだが・・・

「愛をこめて?!」
「愛・・・?!」

これが、妙に引っかかった。

自覚はないが、さすがマーチン先生の卵。
すでに、サインを感じていたのだ。

早速週末。
僕の家で遊ぼうと彼女を誘った。
もちろん、喜んできてくれた。

行動が早いのも、さすがマーチン先生の卵である。

精一杯背伸びして、酒屋さんでワインを買ってきた。
何にもわからないので・・・

「一番、飲みやすいのをください」

といって買った。

部屋でワインを飲みながら・・・
劇の話、チョコの話、恋愛の話をした。

やがて、ワインがなくなりかけた頃・・・
話が途切れた。

「・・・」
「・・・好き?」

コクッ・・と頷く彼女。

キスをした。
まともなキスは、これが始めてだった。

−*−*−*−*−−*−−*−

そう、実は「Chu!」だけのキスは、
中学3年の彼女と、1度だけあったのだ。

「M!!」って僕が呼んで、
「なぁに?」って振り向きざまに Chu!

「もう・・・」
「えへへ・・・」

なんて、甘いファーストキス。
・・・を想像してたのだが!!!


「もうっ!!信じらんない!!!」


と、めちゃめちゃ怒られてしまった。
ハッキリ言って・・・シビれた。

翌朝。
学校へ行ったらなぜか、「マーチンとMがキスをしたらしい」と評判に。

仲良しくんに「なんで知ってんの?」と聞いたら

「ああ、Mに直接聞いたぜ」

「・・・。
 喜んでんじゃねーか」

そして、またまたシビれたファーストキスだった。

−*−*−*−*−−*−−*−

酔いもあって、心臓が爆発しそうだ。
でも、手はちゃっかりと・・・彼女の胸に。
やはり手が早いマーチンである。

そのまま、暫く抱き合って・・・
手をあそこへ持っていこうとした、その時!

「やめて!」

これで、その日は終了した。
また来週ね・・・と。

次の日曜日まで、頭の中はパニックだった。
授業中も家に帰ってからも、「あのとき」が忘れられなかった。

16年以上生きてきて、初めての体験だ。
それも当然なのだろう。

でも、それからはエッチなことにはならず・・・
普通に遊んでいた。

そして春休み初日。
僕は入院した。

あの、ヘルニア入院だ。(第8話参照)

春休み最終日、退院。
高校2年が始まる。

4月、何度目かの日曜日。
彼女が再び僕の部屋へやってきた。

この日は・・・
彼女も、その覚悟でやってきてくれたようだった。

でも、勢いがいる。
またまた、ワインを飲むふたり。

そして・・・。

ベッドへ入り、アレを着けていざ!

・・・入らない。

噂には聞いてたが、入らないのだ。
彼女もかなり痛がっている。
もちろんバージンだ。
ちなみに、僕もチェリーだった。

「彼女の腰の下に枕を入れると、挿入しやすくなる」

という話を思い出し、試すがそれもだめ。

どうしよう・・・。
どうしたら・・・。

と思って、何気に布団から出した右手を見たら・・・

「ええっ!!」

「・・・どうしたの」


血で、血で、手が真っ赤なのだ!!


驚いて、布団を剥ぎ取った。

そこは・・・
火曜サスペンス劇場の殺人現場のように真っ赤だった。

そして、萎えた。

それを見た瞬間、さすがの僕もイ○ポになった。
そして、この日は終了した。

その後、彼女の部屋や、僕の部屋で何度かトライした。
でも、入らなかった。

そんなある日。
もう何度目のチャレンジかわからない、そんなある日。

あきらめて、体を離したそのとき・・・

「スポッ」と、おちん○んが抜けた感触があった。


「あれ??」


抜けたということは・・・
そう、入っていたに違いないのだ。

きっとこれが、君と僕の初体験。
君はもちろん、僕もイッてない。
そんなフシギな初体験。

それはちょうど・・・
今から、15年前のできごとでした。

P.S.15年経った今、ようやくチョコが3つ以上貰えるようになりました。
    でも、君のチョコ・・・ホントに嬉しかったです。

From Martin


2002年2月18日著


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