第2話 頑張ることを教えてくれた君

お兄ちゃんかっこいい!
兄がフォークギターを弾いている。

チャンチャカ♪チャンチャカ♪

「夏もそろそろ終わりねと
 君がいう〜♪」            ※長渕剛「夏祭り」より

ぼーっ・・・

「お前もやる?」
「やるやる!」

これが、僕とギターの出逢いだった。

フォークギターには大きく3つの弾き方がある。

ジャカジャカやる「ストローク」
静かに語る「アルペジオ」
フォーク特有のリズムにのる「スリーフィンガー」

「夏祭り」は一番難しいスリーフィンガーだ。

右手の指が凄い速さで動く。
初めて見ると、とても人間技とは思えない。

即実行のマーチンがやってみる!
・・・が、できるわけがない。

そもそも左手で弦が押さえられない。
痛くて10秒も、もたないのだ。

「お兄ちゃんの指はどうなってんの?」
・・・!!

硬い!
タコができて、指先が踵の裏みたいに硬い。

すごいなぁっ・・・。

このときあまりかっこよくない兄が・・・(ごめん!)
とてもかっこよく見えたんだ。

「お母さん、ギター買って!」

次の日に早速おねだりしてみるが・・・
買ってくれるわけがない。

どうせすぐに飽きるんだからと。

3日・・・、5日・・・、7日が過ぎた。

「お母さん、見て見て!」

チャンチャカ♪チャンチャカ♪

得意顔で弾いてみせる。
一週間で前奏が弾けるようになったんだ。
これには兄も驚く。

実績がモノをいう。
これは、仕事もおねだりも同じらしい。

お年玉を前借りするという条件で、
ギターを買ってくれることになったんだ。

で、楽器店に行くのかと思いきや・・・、近所の質屋さんへ。
友人に質屋さんがいたのだ。

質流れのギターがあるかもと母に連れられて行く。

これがまた、不思議とあったのだ。
やはりタイミングは存在する。

1万円也。
とり安い。(とり=veryの意。マーチン&友人語)

もう嬉しくて仕方ない。
勉強そっちのけでギターを弾く。

弾く弾く弾く。
とり弾く。

深夜は怒られるから、音がしないようにタオルを巻いて弾く。

左手の指が痛い。
バンドエイドは大きすぎて邪魔だから
セロテープをぐるぐる指先に巻いて弾いた。

熱中すると、僕は本当にすごいパワーが出る。
これは、昔からそうだったみたいだ。

2、3曲弾けるようになった頃・・・
何かが変わった。

友達が急に増えたんだ。

実はそれまで僕は嫌われ者だった。
生意気だからって。

でも、マーチンはギターが弾けるらしいと
これまで喧嘩しかしなかった人達が
集まって来るようになった。

今まで仲が悪かった人達ほど、
仲良くしてくれるようになったんだ。

僕はギターと出逢って、頑張ることを知った。
そして、頑張った僕を認めてくれた人が友達になった。
先生も認めてくれて、音楽の時間にいろんな曲の伴奏をさせてくれた。

僕は、「認めてもらえることの喜び」を知ったんだ。

君に出逢って僕の人生は大きく変わったと思う。
本当に・・・出逢えてよかったよ。

P.S.君のおかげで、たくさんの大切な人達に出逢えました。
    ・・・感謝しています。

From Martin

2000年6月30日著/2001年12月3日加筆


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